東京都健康安全研究センター
鳥インフルエンザ Avian Influenza

更新日:2019年7月31日

 

 鳥インフルエンザは、鳥インフルエンザウイルスを原因として主にトリの間で流行するインフルエンザです。このウイルスは、ヒトにも感染する可能性があります。

 このページでは、鳥インフルエンザについて、ヒトへの感染を中心に、以下の2つに分けて説明します。

 『鳥インフルエンザ(トリ)』は、野鳥から高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出するなど、国内各地で確認されていることから、家きん飼養農場での本病の発生リスクは極めて高い状況にあるとされています。

1.鳥インフルエンザ(ヒト)とは

 鳥インフルエンザウイルスにヒトが感染した場合をいいます。おおむね2~9日を潜伏期間とし、感染初期には発熱、咳、全身倦怠感、筋肉痛、下痢、嘔吐、腹痛、鼻出血、歯肉出血などを呈します。重症化すると、肺炎や多臓器不全などを起こし、死亡することもあります。症状だけでは鳥インフルエンザかどうかは判断できず、検査により診断します。病状や治療、死亡率など、まだ十分に解明されていない点が多いのが現状です。

鳥インフルエンザ(ヒト)と新型インフルエンザとの関係

 季節的に流行するヒトインフルエンザウイルスと、鳥インフルエンザウイルスの感染がブタやヒトの呼吸器で同時に起こると、これらの体内で遺伝子の組み換えが起こる可能性が高く、ヒトからヒトに効率的に感染を起こす新型インフルエンザの原因ウイルスとなる可能性があります。

 

1 鳥インフルエンザ(ヒト)の原因と感染経路

 トリ型の遺伝子をもつA型インフルエンザウイルス(鳥インフルエンザウイルス)を原因とします。主なものとして、H5N1亜型、H7N7亜型、H7N9亜型、H9N2亜型が挙げられます。

 鳥インフルエンザウイルスに感染した鳥の体液、排泄物などを吸い込んだり、触れることによって感染します(飛沫感染・接触感染)。

 鳥インフルエンザにかかったヒトからヒトへの感染は大変まれですが、インドネシア・ベトナムなどで、鳥インフルエンザ A(H5N1)に感染した子供を看病した家族など、遺伝形質が近縁な親族内での感染例が報告されています。

 

2 鳥インフルエンザ(ヒト)の治療

 抗インフルエンザ薬を中心として、呼吸器症状や全身症状に応じた治療が行われますが、治療法は十分に解明されていないのが現状です。

 

3 鳥インフルエンザ(ヒト)の予防のポイント

流行地域

 鳥インフルエンザの発生が確認されている地域(以下、流行地域)では、鳥との濃厚な接触を避けることが大切です。鳥との濃厚な接触とは、生鳥市場や養鶏場に行く(鳥に1〜2m以内で近づく)、鳥の排泄物に触れる、鳥を殺す、鳥の羽をむしるなどです。

 ※発熱・咳などがあり、おおむね10日以内に流行地域での鳥との濃厚な接触がある、あるいは鳥インフルエンザの患者と接触したと思われる場合は、最寄りの保健所に電話でご相談ください。

 『鳥インフルエンザ(H5N1)』は、1997年に香港で初めて感染例が報告されました。

 『鳥インフルエンザ(H7N9)』は、2013年4月に中国において感染した患者が発生したとWHOが発表しました。

流行地域以外

 特別な予防策は必要ありません。以下のことに注意しましょう。

  • 死んでいる鳥(野鳥・ペットの鳥など)に素手で触れない(必要時は手袋やビニール袋を使用)
  • 鳥や動物に触れた後は石鹸・流水による手洗いを行うなど個人衛生に努める
    (流水で手を洗えないとき、手指にすり込むタイプのアルコール製剤も有効です)

 鳥インフルエンザ予防のためのヒトに対するワクチンは現在ありません。しかし季節的に流行するインフルエンザと鳥インフルエンザに同時に感染すると、新型インフルエンザの発生につながる可能性があることから、通常のインフルエンザの予防接種を受けておくことは大切です。

 

4 鳥インフルエンザ(ヒト)と感染症法との関係

 鳥インフルエンザは感染症法により、『鳥インフルエンザ(H5N1)』『鳥インフルエンザ(H7N9)』『鳥インフルエンザ(H5N1及びH7N9を除く)』の3つに分けられます。

 H5N1、H7N9は二類感染症に、それ以外の鳥インフルエンザは四類感染症にそれぞれ分類され、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることが定められています。

 診断には至らない場合でも、原因不明の高熱や肺炎などを呈しており、高病原性鳥インフルエンザが流行する地域に旅行し、鳥との濃厚な接触歴がある場合、感染症法にもとづく検査を行う場合があります。

 

5 検査や病原体の話

 東京都保健医療局では、鳥インフルエンザ・新型インフルエンザの発生を早期に発見し、ウイルスの封じ込め対策を的確に行うことを目的に、緊急検査システム(東京感染症アラート検査)による対応を行っています。

 この検査は、医療機関の協力のもと、保健所から健康安全研究センターに依頼して行う行政検査であり、一般の方から直接の検査依頼はお受けしておりません。

 

2.鳥インフルエンザ(トリ)について

1 『鳥インフルエンザ(トリ)』とは

 トリ−トリ間で感染するA型インフルエンザの総称です。

 「家畜伝染病予防法」では『高病原性鳥インフルエンザ』『低病原性鳥インフルエンザ』『鳥インフルエンザ』に分類されています。

『高病原性鳥インフルエンザ』

 国際獣疫事務局(OIE)が作成した診断基準により高病原性鳥インフルエンザウイルスと判定されたA型インフルエンザウイルスの感染による家きんの疾病です。(対象となる鳥の種類:鶏、あひる、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥)

『低病原性鳥インフルエンザ』

 H5又はH7亜型のA型インフルエンザウイルス(高病原性鳥インフルエンザウイルスと判定されたものを除く。)の感染による家きんの疾病です。(対象となる鳥の種類:鶏、あひる、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥)

『鳥インフルエンザ』

 H5、H7以外のA型インフルエンザウイルスの感染による家きんの疾病です。(対象となる鳥の種類:鶏、あひる、うずら、七面鳥)

 家きんが高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染すると、その多くが死んでしまいます。一方、家きんが低病原性鳥インフルエンザウイルスに感染すると、症状が出ない場合もあれば、咳や粗い呼吸などの軽い呼吸器症状が出たり産卵率が下がったりする場合もあります。

 低病原性鳥インフルエンザも高病原性鳥インフルエンザに変異する可能性があるため、感染が広がるのを早めに食い止めることができるように対策が行われています。

 

2 『鳥インフルエンザ(トリ)』への対応

家畜伝染病予防法による対応

 国内で高病原性鳥インフルエンザが発生した場合、家畜伝染病予防法に基づき、発生した農場の飼養家きんの殺処分、焼却又は埋却、消毒、移動制限区域の設定など必要な防疫措置が実施され、発生が確認された農場から半径10km以内にある家きん飼養農家については、清浄性が確認されるまで出荷が制限されます。低病原性鳥インフルエンザに対しても移動制限区域など若干の違いはありますが、ほぼ同様の対策が行われています。

 このため、発生が確認された農場の家きん、鶏卵などが市場に出回ることはありません。これらの措置は、国内の生きた家きんがウイルスに感染することを防止することを目的として行われているものです。

感染症法による対応

 獣医師は、鳥類の『鳥インフルエンザ(A/H5N1型又はA/H7N9型)』を診断、あるいは疑いがある場合、感染症法にもとづき最寄りの保健所へ届け出ます。

 

3 身近な鳥の問題について

 国内で高病原性鳥インフルエンザが発生したからといって、これまでペットとして家庭で飼われている家きんが直ちに危険になるということではありませんが、飼育している鶏やチャボに元気がないとき、ほぼ同時期に複数羽死ぬなどの場合は、獣医師に相談して、治療や指示等を受けましょう。

 鳥インフルエンザに関するご相談は、鳥の種類別に担当しています。

 鳥を処分する場合は、素手で触れず、使い捨て手袋などを使ってビニール袋に入れ、その際は処理後に石鹸・流水で手をよく洗いましょう。

「高病原性鳥インフルエンザと学校飼育鶏」(全国家畜畜産物衛生指導協会)(pdf 1.2MB)

 

3.その他の関連情報

『鳥インフルエンザ(ヒト)』

『鳥インフルエンザ(トリ)』

本ホームページに関わる著作権は東京都健康安全研究センターに帰属します ご利用にあたって
© 2023 Tokyo Metropolitan Institute of Public Health. All rights reserved.