東京都健康安全研究センター
インフルエンザウイルスHA遺伝子系統樹(東京都 2010−11年シーズン)

1 AH1pdm09ウイルスのHA遺伝子系統樹

 AH1pdm09亜型の流行株は、ワクチン株(A/California/07/2009、NYMC X-179A:(H1N1)pdm09)の枝の延長上にあり、大きく3グループに分かれていました。現在、国内で発生が見られるのはこの内1グループのみで、一部の系統株に特化する方向で変異が進行していることが推察されます。2011/2012年シーズンのWHOが推奨するAH1型ワクチン株は、引き続き感染拡大の恐れがあるA/California/07/2009株となっています。

2 AH3亜型ウイルスのHA遺伝子系統樹

 AH3亜型の流行株は、ワクチン株(A/Victoria/210/2009:A/Perth/16/2009類似株)を含む大きな群に属してはいますが、ワクチン株を含む群と、さらに分枝したところに位置する群との2つのグループに属していました。WHOは2011/2012年シーズンのAH3亜型のワクチン株としてA/Perth/16/2009類似株を推奨しており、日本はA/Victoria/210/2009株をワクチン株に決定しています。

3 B型ウイルスのHA遺伝子系統樹

   B型のシーズン流行株は、全国的にはVictoria系統株が優勢でしたが、山形系統株も検出されており地域によって流行株が異なっています。しかし、東京都では2008/2009年シーズンからワクチン株(B/Brisbane/60/2008)と同様なVictoria系統の株が続いており2010/2011年シーズン検出株もほとんどの株は系統樹上では同様なところに位置しています。しかし、シーズン終盤になってVictoria系統株である旧ワクチン株(B/Malaysia/2506/2004)に近縁な株がわずかに検出されています。WHOの2011/2012年シーズンのワクチン推奨株は今シーズンと同様にB/Brisbane/60/2008類似株です。
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