東京都健康安全研究センター
蚊媒介感染症 Mosquito-borne Infection

更新日:2016年3月14日

 蚊媒介感染症とは、感染蚊に刺されることにより感染する感染症の総称です。世界的に蚊を媒介した感染症は多く発生し、特に熱帯・亜熱帯地域で広く流行しています。

 

1 蚊媒介感染症

 蚊媒介感染症の一部は、感染症法上、全数把握対象疾患のうち四類感染症の対象とされています。日本で発生、あるいは持ち込まれる可能性の高い疾患としては、ウエストナイル熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱、デング熱、日本脳炎、マラリアの6疾患があげられます。これら6疾患の主な特徴は下記の表のとおりです。

 

 表1 四類感染症の対象疾患となっている主な蚊媒介感染症

疾患名 媒介蚊
(感染経路)
発生地域 潜伏期間 主な症状 備考
ウエストナイル熱 アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカなど
(鳥→蚊→人)
アフリカ、ヨーロッパ、中東、中央アジア、西アジア、米国など 2~6日 発熱、頭痛、背部痛、筋肉痛、筋力低下、食欲不振、発しん 日本国内での感染例は認められていないが、近年まで報告のなかったヨーロッパやアメリカなど西半球に1990年代中頃から流行が発生している。
ジカウイルス感染症 ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなど
(人→蚊→人)
中南米・カリブ海地域、オセアニア太平洋諸島、アフリカの一部(カーボベルデ)、タイ 2~12日
(多くは2~7日)
軽度の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、斑丘疹、結膜炎、疲労感、倦怠感など 日本国内での感染例は認められていない。ギラン・バレー症候群や小頭症との関連が疑われている。性行為による感染例あり。
チクングニア熱 ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなど
(人など→蚊→人)
アフリカ、南アジア、東南アジア

3~12日

(多くは3~7日)

急性の発熱と関節痛、発しん 日本国内での感染、流行はないが、海外で感染した輸入症例が報告されている。
デング熱 ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなど
(人→蚊→人)
東南アジア、南アジア、中南米、カリブ海諸国 2~15日
(多くは3~7日)
発熱で始まり、頭痛、眼窩痛、筋肉痛、関節痛 非致死性の熱性疾患であるデング熱と、重症型のデング出血熱やデングショック症候群の2つの病態がある。
日本脳炎 コガタアカイエカ
(豚→蚊→人)
日本、中国、東南アジア、南アジア 6~16日 発熱、頭痛、吐き気、おう吐、めまい、意識障害 感染しても日本脳炎を発病するのは100~1,000人に1人程度であり、大多数は無症状に終わる。
マラリア ハマダラカ
(人→蚊→人)
東南アジア、アフリカ、中南米 7~40日 発熱、悪寒、倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛 マラリア原虫の種類によって、熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリアに分類される。これらのうちもっとも危険なのが熱帯熱マラリアで、治療が遅れると死に至ることがある。

 

2 原因と感染経路

 主に感染蚊が刺すことによりヒトに感染します。媒介する蚊は疾患により異なりますので、詳細は表1をご覧下さい。

 

3 治療

 マラリアについては、抗マラリア薬を投与します。ウエストナイル熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱、デング熱、日本脳炎は、対症療法が中心です。
 感染してからの治療よりも、蚊に刺されないための対策が重要です。 

 

4 予防のポイント

 流行地での予防は、肌の露出を少なくし、防虫剤を適宜使用するなど、蚊にさされないように注意することが大切です。具体的には、長袖、長ズボンの着用、虫除けのスプレーや軟膏の塗布、殺虫剤や蚊取り線香などでの対応などがあります。

 また疾患別の予防策として、日本脳炎は不活化ワクチンによる予防接種、マラリアは医師の処方による予防内服が有効です。ウエストナイル熱やジカウイルス感染症、チクングニア熱、デング熱にはワクチンも予防薬もありません。

 

5 感染症法との関係

 ウエストナイル熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱、デング熱、日本脳炎、マラリアは四類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることになっています。 

 

6 病原体

 疾患ごとの病原体は、下記のとおりです。

 表2 蚊媒介感染症の病原体

疾患名 病原体
ウエストナイル熱 ウエストナイルウイルス(West Nile Virus)
ジカウイルス感染症 ジカウイルス(Zika Virus)
チクングニア熱 チクングニアウイルス(chikungunya virus)
デング熱 デングウイルス(Dengue virus)
DEN-1、DEN-2、DEN-3、DEN-4の4型
日本脳炎 日本脳炎ウイルス(Japanese encephalitis)
マラリア マラリア原虫(malaria parasite)
熱帯熱マラリア(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア(P.vivax)、四日熱マラリア(P.malariae)、卵形マラリア(P.ovale)の4種類
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