東京都健康安全研究センター
狂犬病 Rabies

更新日:2015年5月25日   

1 狂犬病とは

 狂犬病とは狂犬病ウイルスを持つ動物に、咬まれたり引っ搔かれたりしてできた傷口から、ウイルスが侵入して感染する病気です。

 毎年、世界中で約5万人の死者がでています。水などを恐れるようになる特徴的な症状があるため、恐水病または恐水症と呼ばれることがあります。

 アフリカ、アジア、中南米のほとんどの地域で流行しています。台湾は狂犬病のない地域とされていましたが、2013年7月、台湾で狂犬病の野生動物が確認されています。

 日本での狂犬病は1957年以降発生していません。輸入感染事例としては狂犬病流行国で犬に咬まれ帰国後に発症した事例が、1970年にネパールからの帰国者で1件、2006年にフィリピンからの帰国者で2件ありました。

 

2 病原体と感染経路

 狂犬病ウイルス (rabies virus) を病原体とする感染症です。狂犬病ウイルスは、ラブドウイルス科(rhabdoviridae)のリッサウイルス(lyssavirus genus)に属しています。

 一般には感染した動物の咬み傷などから唾液に含まれるウイルスが侵入することで感染します。傷口、目や口の粘膜をなめられたりすることでも感染することがあります。

 狂犬病ウイルスはヒトを含む全ての哺乳類に感染することが知られています。人への感染源のほとんどはイヌですが、イヌ以外の野生動物も感染源となっています。

 通常、ヒトからヒトへ感染することはなく、感染した患者から感染が拡大することはありません。

 

3 症状

 ヒトの潜伏期間は1~3か月ですが、1年以上の事例の報告もあります。発熱、頭痛、全身倦怠やおう吐などが起こります。ついで、筋肉の緊張、幻覚、けいれん、ものを飲み込みづらいなどが起きます。

 さらに液体を飲もうとすると筋肉がけいれんするため、水を恐れるようになり(恐水症)、やがて昏睡状態となり、呼吸が麻痺し死亡します。

 

4 治療

 狂犬病は一度発症すれば効果的な治療法はなく、ほぼ100%の人が死亡します。

 感染動物にかまれるなど感染した疑いがある場合には、その直後から連続したワクチン接種(暴露後ワクチン接種)をすることで発症を抑えることができます。

 暴露後ワクチンの接種はできるだけ早く接種を開始する必要があります。初回のワクチン接種日を0日として、3日、7日、14日、30日および90日の計6回皮下に接種します。

 

5 予防のポイント

 感染しないようにするためには動物にむやみに近づかないことが大切です。有効なワクチンが有り、流行地域へ旅行する際は事前に予防接種を受けることも検討してください。

 

6 診断(検査)・感染症法との関連

  • 分離・同定による病原体の検出
  • 蛍光抗体法による病原体の抗原の検出
  • PCR法による病原体遺伝子の検出
  • Fluorecent Focus Inhibition TestまたはELISA法による抗体の検出

 四類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることが義務づけられています。

 イヌなどの狂犬病については狂犬病予防法の適用を受け、ウシやウマなどの狂犬病については家畜伝染病として家畜伝染病予防法の適用を受けます。

 咬傷事故を起こした動物は狂犬病感染の有無を確認するため、捕獲後2週間の係留観察が義務付けられています。係留観察中の動物が発症した場合は直ちに殺処分し、感染動物の脳組織から蛍光抗体法でウイルス抗原の検出を行います。

 

7 さらに詳しい情報が必要な方は

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