東京都健康安全研究センター
アシネトバクター感染症 acinetobactor infection

1.アシネトバクターとは


アシネトバクター属画像
アシネトバクター属
Acinetobacter sp.)
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 アシネトバクターは細菌の一種で、モラクセラ科アシネトバクター属に分類されます。アシネトバクター属には多くの種があり、その全てがヒトに対して病気を引き起こす可能性があります。アシネトバクターによる感染報告のうち約80%はアシネトバクター・バウマニによるものです。アシネトバクターは一般的に土壌や水に生息していますが、健康な人の皮膚からも検出されます。
【発生状況】
 アシネトバクターは土壌や水など環境中に生息している菌のため、多くの医療機関において患者から菌が検出されています。厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)に参加している507医療機関でみると、そのうちの498医療機関(98.2%)からアシネトバクター属が検出されています。アシネトバクター属が検出された患者のうち多剤耐性菌であった患者は0.19〜0.24%でした(2008年、2009年JANISデータ)。

 

2.感染経路

 アシネトバクターは健康な人に感染することは稀です。しかし免疫機能異常、慢性肺疾患、糖尿病など基礎疾患を持っている人は、アシネトバクターに感染し易くなります。また入院患者、特に人工呼吸器を使用している重症患者、長期入院患者、開放創がある患者は、アシネトバクター感染の危険性が大きくなります。
 アシネトバクターは、汚染された手を介した接触感染や、菌を含んだしぶきを吸い込むことによる飛沫感染などにより広がっていきます。

 

3.症状

 アシネトバクターは肺炎から敗血症まで様々な疾患の原因となり、症状も多彩です。入院している患者では、発熱など感染を疑わせる兆候が見られないのに、気管切開創や開放創などにアシネトバクターが生息していることもあります。アシネトバクターが重症患者に感染した場合は、直接ないしは間接的な死因となることがあります。

 

4.治療

 アシネトバクターは、一般的に処方される複数の抗菌薬に抵抗性を示すことがあります。このようなアシネトバクターを多剤耐性アシネトバクターといいます。そのため、アシネトバクターの治療は菌の薬剤感受性及び感染した人の病態に合わせて行われます。

 

5.予防

 アシネトバクターは健康な人の皮膚からも検出されるように、環境中で数日間生存する可能性があります。手洗いや清掃・消毒などの感染予防を適切に行うことによって、アシネトバクター感染の危険性を減少させることができます。
 外出後の手洗いに心がけましょう。消毒が必要な場合は、加熱や消毒用アルコールなどが有効です。

 また免疫機能異常、慢性肺疾患、糖尿病など基礎疾患を持っている方は、基礎疾患の治療を適切に行うことも感染予防のために大切です。

 

6.その他の関連情報

  多剤耐性菌について(厚生労働省)
  多剤耐性アシネトバクター感染症(国立感染症研究所)

  アシネトバクター感染症について(横浜市衛生研究所)

  acinetobacter infection(CDC)

 


更新日:2010年9月16日

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