東京都健康安全研究センター
南米出血熱 South American hemorrhagic fever

更新日:2016年12月2日

1 南米出血熱とは

 南米出血熱とは、南米大陸におけるアレナウイルス科アレナウイルス属のウイルスによる出血熱の総称で、アルゼンチン出血熱、ブラジル出血熱、ベネズエラ出血熱、ボリビア出血熱、チャパレ出血熱があります。

 それぞれ異なるウイルスによる感染症で、アルゼンチン出血熱を除いて、発生は極めてまれで感染する可能性のある地域は限定的です。アルゼンチン出血熱の発生地域はアルゼンチン・パンパス地方ですが、有効なワクチンが導入されたことにより患者数は減少しています。

 

2 原因と感染経路

 病原体は、アレナウイルス科(family Arenaviridae)アレナウイルス属(genus Arenavirus)に属するウイルスで、アルゼンチン出血熱はフニンウイルス(Junin virus)、ボリビア出血熱はマチュポウイルス(Machupo virus)、ベネズエラ出血熱はグアナリトウイルス(Guanarito virus)、ブラジル出血熱はサビアウイルス(Sabia virus)、チャパレ出血熱はチャパレウイルス(Chapare virus)です。

 ウイルスを保有しているネズミ類との接触、ネズミ及びネズミの糞尿によって汚染された食品の摂取、食器の使用、塵や埃を吸いこむことで感染します。また、まれにですが患者との接触で感染することもあります。

 

3 症状

 潜伏期間は7~14日で、突然の発熱、筋肉痛、悪寒、背部痛、消化器症状がみられ、その後、衰弱、嘔吐、目まいなどが出現し、重症例では高熱、出血傾向、ショックを起こすことがあります。歯肉からの出血が特徴的で、皮下や粘膜からの出血をおこします。神経症状がおこると、舌や手の振戦から、せん妄、こん睡、痙攣に至ります。致死率は30%とされています。

 

4 治療

 特別な治療法はなく、症状に応じた対症療法が行われます。

 

5 予防のポイント

 国内で利用できる予防接種はありません。

 流行している地域ではネズミ類がいるような不衛生な場所に近寄らないようにすることや汚染された食品を摂取しないようにすることが重要です。

 

6 診断・感染症法との関連

 診断は、病源体の検出、病原体の遺伝子の検出、抗原検査あるいは抗体検査によります。

 感染症法では一類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄の保健所へ届け出ることが義務付けられます。

 

7 さらに詳しい情報が必要な方は

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