東京都健康安全研究センター
梅毒 Syphilis

更新日:2016年3月31日

  都民向け情報リーフレット(梅毒患者が増加しています!!)

1 梅毒とは

梅毒トレポネーマの顕微鏡写真

 梅毒は梅毒トレポネーマに感染することによりおこる全身性疾患です。感染すると2〜3週間後からリンパ節炎や皮膚症状が出ます。

 ペニシリンなどの抗生物質が有効ですが、治療しないと症状は段階的に進行して、最終的には中枢神経まで侵されます。しかし、症状が出ない「無症候性梅毒」の状態で、永年にわたり気がつかないまま過ごすケースもあります。

 

2 病原体

  梅毒の病原体はらせんの細い糸状の形をした梅毒トレポネーマ(Treponema Pallidumという細菌です。

 

3 症状

 先天梅毒と後天梅毒に分けられ、さらに後天梅毒は4期に分類されています。

 感染後、約1週間から13週間の潜伏期間を経て発症します。現在では、比較的早期から治療を開始する例が多く抗生物質が有効であることなどから、第3期、第4期に進行することはほとんどありません。

第1期

 感染後、3週間から3か月の状態。トレポネーマが侵入した部位(陰部、口唇部、口腔内)に、しこり(無痛性の硬結で膿を出すようになり、これを硬性下疳と言う)が生じます。しこりはすぐ消えますが、まれに潰瘍となることがあります。また、股の付け根の部分(鼠径部)のリンパ節が腫れることがあります。

第2期

 感染後、3か月から3年の状態。全身のリンパ節が腫れる他に、発熱、倦怠感、関節痛などの症状がでる場合があります。

 「バラしん」と呼ばれる特徴的な全身性発しんが現れることがあり、赤い目立つ発しんが手足の裏から全身に広がり、顔面にも現れます。
 治療しなくても約1か月程度で消失しますが、抗生物質で治療しない限りトレポネーマは体内に残っています。

第3期

 感染後3から10年の状態。皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生しますが、現在ではこのような症例をみることは稀です。

第4期

 感染後10年以降の状態。多くの臓器に腫瘍が発生したり、脳、脊髄、神経を侵され麻痺性痴呆、脊髄瘻を起こし、死亡に至ることがありますが現在では稀です。

 

先天性梅毒

 妊娠している人が梅毒にかかると、胎盤をとおして胎児に感染します。生後数年以内の乳幼児期に症状が現れる早期先天梅毒では、梅毒しん、骨軟骨炎などがみられ、学童期以降に症状を呈してくる晩期先天梅毒ではハッチンソン3徴候(実質性角膜炎、内耳性難聴、ハッチンソン歯)やゴム腫などがみられます。先天梅毒の報告は現在ではまれです。

 

4 治療

  ペニシリン系とセフェム系の抗生物質が有効です。感染からの経過が長いと、長期の治療を必要とします。

 

5 予防のポイント

  パートナー同士の感染有無の確認がまん延防止に必要です。また、不特定多数との性行為、特に感染力の強い第1期及び第2期の感染者との性行為を避けることが基本です。

 

6 感染症法との関係

  梅毒は第五類感染症(全数把握対象疾患)に定められており、診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に届け出ることになっています。

 

7 検査の話

  梅毒の診断には脂質抗原(カルジオリピン)に対する抗体を測定するRPR法やトレポネーマ(Treponema:TP)に対する特異的抗体を測定するTP抗体検査法(TPHA法等)を使用します。スクリーニング検査として血液中の抗カルジオリピン抗体が陽性(図1:RPR法)、さらに抗TP抗体陽性であった場合(図2:TPHA法)に、梅毒抗体陽性と判定します。

 第1期梅毒の最初の数週間は抗体検査では陽性を示しませんが、約6週間を超えると抗カルジオリピン抗体が上昇し、次いで抗TP抗体が上昇します。抗カルジオリピン抗体価は感染、治癒に応じて下降するため、治療効果の判定にも利用されますが、抗TP抗体は治癒後も継続的に陽性となり、過去の梅毒感染との区別がつきにくい傾向があります。

RPR法

図1 RPR法(画像をクリックすると大きな画像が表示されます)

TPHA法

図2 TPHA法(画像をクリックすると大きな画像が表示されます)

  

8 さらに詳しい情報が必要な方は

 

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