東京都健康安全研究センター
東京都において分離された赤痢菌及びサルモネラの薬剤感受性について(1995年)(第17巻、8号)

東京都において分離された赤痢菌及びサルモネラの薬剤感受性について(1995年)(第17巻、8号)

 

1996年8月

 


 

 1995年に衛生研究所並びに東京都・区立保健所など関係検査機関で分離された赤痢菌とサルモネラについて、衛生研究所が実施した薬剤感受性検査成績の概略を紹介する。
 供試菌株は、都内の患者及びその関係者、飲食物取扱業者(国内由来株)並びに海外旅行者(海外由来株)から分離された赤痢菌73株とサルモネラ618 株である。
 薬剤感受性試験は、例年同様、米国臨床検査標準委員会(NCCLS)の抗菌薬ディスク感受性試験実施基準に基ずき、市販の感受性試験用ディスク(センシディスク;BBL)を用いて行なった。供試薬剤は、クロラムフェニコ−ル(CP)、テトラサイクリン(TC)、ストレプトマイシン(SM)、 カナマイシン(KM)、 アンピシリン(ABPC)、スルファメトキサゾ−ル・トリメトプリム合剤(ST)、ナリジクス酸(NA)、ホスホマイシン(FOM)及びノルフロキサシン(NFLX)の9剤である。
 赤痢菌及びサルモネラの菌種・菌群別にみた耐性菌の出現頻度を表に示した。赤痢菌の耐性頻度は、国内由来株で92.9% 、海外由来株で94.9% であり、例年と同様の高耐性率であった。薬剤別耐性頻度についてみると、前者ではTC(85.7%)、 SM(85.7%)、 ST(71.4%)、 CP(35.7%) ABPC(14.3%)、 NA(14.3%)の順、後者では SM(89.8%)、TC(86.4%)、 ST(69.5%)、 ABPC(27.1%)、 CP(25.4%)、 NA(3.9%)、 KM(1.7%) の順で高かった。これら耐性株の耐性パタ−ンについてみると、国内由来株のD群菌では耐性8株中6株がTC・SM・STの3剤耐性、海外由来株ではB群菌でTC・SM・ST(4株)、 CP・TC・SM・ABPC・ST(3 株)、D群菌で TC・SM・ST(26株)、CP・TC・SM・ABPC(8 株) が主要なものであった。なおFOM、NFLXに対する耐性株はこれまでと同様みられなかつた。
 一方、サルモネラにおける耐性菌の出現頻度は、国内由来株で38.3%、海外由来株で26.9% であり、前者の耐性頻度が前年(31.3%)をかなり上回ったのに対し、後者は前年(29.7%) よりやや低い結果であった。国内由来株の耐性率が海外由来のそれを上回るのは、調査を始めた1980年以降1989年及び昨年に次ぎ3回目である。薬剤別耐性頻度は、国内由来株では SM(31.7%)、 TC(26.4%)、 KM(9.9%)、 ABCP(5.7 %)、 CP(4.1%)、 ST(3.9%)、 NA(3.0%)、 FOM(0.7%)、 NFLX(0.2%) の順、海外由来株ではTC(24.7%)、SM(15.9%)、ST(4.9%)、 ABPC(3.8%)、KM (3.3%)、NA(2.7%)、 CP(2.2%) の順で高かった。なお、FOM耐性株は3株、NFLX耐性株はこの調査において初めて1株、いずれも国内由来株に認められた。このNFLX耐性株はO1,3,19群のS.Senftenberg でTC・SM・KM・ABPC・NA・NFLX の耐性パタ−ンであった。O群別に見ると国内由来株でO8群、O9群及びO4群、海外由来株でO8群とO4群において耐性頻度が高く、また菌型別(国内由来で10株、海外由来で5株以上分離された型)では、国内由来株で血清型 Hadar (98.2%)、Typhimurium(73.3%)、 Enteritidis(57.7%)、 海外由来株でHadar(92.9%)、 Typhimurium(80.0%)、 Stanley(40.0%)が高率であった。なお、海外由来のチフス菌1株はSM単剤耐性であったが、国内由来2株と海外由来6株のパラチフスA菌はいずれも感受性であった。

微生物部 細菌第一研究科 松下 秀

  赤痢菌及びサルモネラの薬剤耐性菌の出現頻度(1995年:東京)

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菌種・菌群 国内由来株 海外由来株
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赤痢菌 13/14(92.9)* 56/59(94.9)
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A 群 – 1/1(100)
B 群 5/5(100) 11/11(100)
C 群 – 4/4(100)
D 群 8/9(88.9) 40/43(93.0)
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サルモネラ 167/436(38.3) 49/182(26.9)
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チフス菌 – 1/1(100)
パラチフスA菌 0/2 0/6
O4 群 33/66(50.0) 13/34(38.2)
O7 群 23/152(15.1) 3/22(13.6)
O8 群 61/85(71.8) 21/27(77.8)
O9 群 46/81(56.8) 2/44(4.5)
O3、10群 3/21(14.3) 9/42(21.4)
O1、3、19群 1/11(9.1) 0/1
その他のO群 0/18 0/5
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* 耐性株数/試験株数(%)


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