東京都健康安全研究センター
身近な水環境からのレジオネラ属菌の検出状況(第18巻、5号)

身近な水環境からのレジオネラ属菌の検出状況(第18巻、5号)

 

1997年5月

 


 

 レジオネラ属菌は呼吸器系の病原細菌であり、目に見えない水滴(エアロゾル)を吸入することによって感染すると考えられている。都内では、1994年8月には民間企業の研修所でレジオネラ属菌による熱性疾患であるポンティアック熱が集団発生した。また、1996年7月には大学病院で新生児がレジオネラ属菌による肺炎で死亡していたことが報道された。さらに、1996年暮れには通商産業省が24時間風呂のレジオネラ汚染を指摘したことから、レジオネラ属菌に対する社会的関心が一段と高まった。このような状況にあるレジオネラ属菌について、身近な水環境からの検出状況を以下に示した。

1)空調用冷却塔水 1987年、1988年及び1989年の3年間にわたり、ビルに設置されている稼働中の空調用冷却塔174 箇所を対象に調査を実施した。その結果、246試料中125試料(50.8%)から、4.0×10の0乗〜5.0×10の4乗CFU/100 mlのレジオネラ属菌が検出された。

2)給湯水 家庭用に多い瞬間式20試料、電気温水器などの貯湯式20試料、事務所ビルの循環式40試料の合計80試料の給湯水についてレジオネラ属菌の検出を試みた。その結果、瞬間式を除き、貯湯式2試料(10.0%)、循環式5試料(12.5%)の給湯水から4.0×10の0乗〜1.7×10の2乗CFU/100 ml検出された。

3)修景用水 1994年には建築物に付帯した修景施設19箇所について調査を行ったところ、4施設からレジオネラ属菌が検出された(検出率21.1%)。1995年には前年と同様な施設を対象に、施設数を30箇所に増やして調査した結果、7箇所(23.3%)から検出された。また、同年には公園や駅前広場などに設置された16箇所の修景施設についても調査を行ったところ、2箇所(12.5%)から検出された。また、1996年にも建築物に付帯した修景施設30箇所について調査を行った結果、6施設(20.0%)から検出された。菌数は2.0×10の0乗〜3.8×10の3乗CFU/100 mlであった。

4)浴槽水 1996年12月から1997年2月までの調査結果を示した。24時間風呂の浴槽水では97試料中80試料からレジオネラ属菌が検出され、検出率は82.5%と高かった。また検出菌数をみると、10の4乗台が29試料(36.3%)と最も多く、ついで10の3乗台が20試料(25.0%)、さらに10の5乗台が12試料(15.0%)であり、最高菌数は4.6×10の5乗CFU/100 mlに及んだ。他方、通常の家庭風呂の浴槽水(30試料)からはまったく検出されなかった。

5)温泉水 20試料について試験した結果、このうち6試料(30.0%)からレジオネラ属菌が検出されたが、その菌数はわずかに2.0×10の0乗〜3.6×10の1乗CFU/100 mlにすぎなかった。

6)雑用水 1994年から1996年にかけて行った調査結果を示した。1994年の調査では9試料中2試料(22.2%)から検出され、100 ml中の菌数はそれぞれ2.0×10の0乗CFU、6.0×10の1乗CFUであった。1996年1月の冬期の調査では35試料について試験を行ったが、レジオネラ属菌が検出された試料はわずかに1試料(2.9%)のみで、菌数も2.0×10の0乗CFU/100 mlと少なかった。また、同年7月には夏期の調査を実施したが、29試料中2試料から検出されたにすぎず、検出率は6.9%で冬期の結果と大差なかった。検出菌数は8.0×10の0乗、6.0×10の2乗CFU/100 mlであった。全体では73試料中5試料(6.8%)から2.0×10の0乗〜6.0×10の2乗CFU/100 mlのレジオネラ属菌が検出された。

7)プール水 1997年2月、室内プール施設を対象に、プール水49試料、ジャグジー27試料、シャワー水46試料の合計122 試料についてレジオネラ属菌の調査を実施した。その結果、レジオネラ属菌が検出されたのはジャグジーの1試料のみで、菌数は1.0×10の2乗CFU/100 mlであった。

 以上のように、レジオネラ属菌は建築物に関連する水環境には広く生息していることがわかった。今後の課題は、本菌による感染の危険性を減らす意味からも如何に菌数を増加させないように維持管理するかである。

 

各種水試料からのレジオネラ属菌の検出状況

 

試 料 検 査
試料数
検 出
試料数
検出率
(%)
検出菌数
(CFU/100ml)
冷却塔水
給湯水
修景用水
浴槽水
温泉水
雑用水
プール水
246
80
95
97
20
73
76
125
7
19
80
6
5
1
50.8
8.8
20.0
82.5
30.0
6.8
1.3
4.0×10の0乗〜5.0×10の4乗

4.0×10の0乗〜1.7×10の2乗

2.0×10の0乗〜3.8×10の3乗

2.0×10の0乗〜4.6×10の5乗

2.0×10の0乗〜3.6×10の1乗

2.0×10の0乗〜6.0×10の2乗

1.0×10の2乗

環境保健部 水質研究科 古畑勝則


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