東京都健康安全研究センター
東京都において分離された赤痢菌及ぴサルモネラの薬剤感受性について(1997年)

東京都において分離された赤痢菌及ぴサルモネラの薬剤感受性について(1997年)(第19巻、8号)

 

1998年8月

 


 1997年に衛生研究所並ぴに東京都・区立保健所など関係検査機関で分離された赤痢菌とサルモネラについて、衛生研究所が実施した薬剤感受性検査成績の概略を紹介する。

 供試菌株は、都内の患者及びその関係者、飲食物取扱業者(国内由来株)並びに海外旅行者(海外由来株)から分離された赤痢菌66株とサルモネラ446株である。

 薬剤感受性試験は、例年同様、米国臨床検査標準委員会(NCCLS)の抗菌薬ディスク感受性試験実施基準に基づき、市販の感受性試験用ディスク(センシディスク;BBL)を用いて行なった。供試薬剤は、クロラムフェニコール(CP)、テトラサイクリン(TC)、ストレプトマイシン(SM)、カナマイシン(KM)、アンピシリン(ABPC)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤(ST)、ナリジクス酸(NA)、ホスホマイシン(FOM)及びノルフロキサシン(NFLX)の9剤である。

 赤痢菌及ぴサルモネラの菌種・菌群別にみた耐性菌の出現頻度を表に示した。赤痢菌の耐性頻度は、国内由来株で82.4%、海外由来株で93.9%であり、例年と同様の高耐性率であった。薬剤別耐性頻度についてみると、前者ではSM(82.4%)、TC(76.5%)、ST(64.7%)、ABPC(29.4%)、CP(23.5%)、NA(5.9%)の順、後者ではSM(89.8%)、TC(87,8%)、ST(71.4%)、ABPC(36.7%)、CP(30.6%)、KM(2.0%)、NA(2.0%)の順で高かった。これら耐性株の耐性パターンについてみると、国内由来株のD群菌では耐性10株中7株がTC・SM・STの3剤耐性、海外由来株ではB群菌でCP・TC・SM・APBC・ST(4株)、TC‐SM・ABPC・ST(2株)、TC・SM・ST(2株)、D群菌でTC・SM/ST(17株)、CP・TC・SM・ABPC・ST(3株)が主要なものであった。なおF0M、NFLXに対する耐性株はこれまでと同様みられなかつた。

 一方、サルモネラにおける耐性菌の出現頻度は、国内由来株で29.5%、海外由来株で37.9%であり、前者の耐性頻度が前年(36.8%)をかなり下回ったのに対し、後者は前年(33.1%)より高い結果であった。国内由来株の耐性率が海外由来のそれを1994年以降3年連続で上回っていたが、本年は従来通り海外由来株の耐性率の方か高かった。薬剤別耐性頻度は、国内由来株ではSM(23.5%)、TC(15.4%)、KM(6.4%)、CP(3,1%)、ST(3.1%)、ABPC(2.0%)、NA(1.1%)の順、海外由来株ではTC(34.5%)、SM(20.7%)、ST(11.5%)、CP(8.0%)、ABPC(8.0%)、KM(6.9%)、NA(6.9%)の順で高かった。なおF0M耐性株及ぴNFLX耐性株は皆無であった。主要O群別に見ると国内由来株でO9群、及びO8群、海外由来株でO8群、O4群及びO7群において耐性頻度が高く、また血清型別(国内由来で10株、海外由来で5株以上検出された血清型)では、国内由来株でS. Hardar(86.7%)、S. Enteritidis(57.0%)、S. Typhimurium(35.7%)、海外由来株でS. Hardar(100%)が高率であった。なお、国内由来のパラチフスA菌1株はNA単剤耐性株であった。

 

赤痢菌及びサルモネラの薬剤耐性菌の出現頻度(1997年:東京)

菌種・菌群 国内由来株 海外由来株
赤痢菌 14/17 (82.4) 46/49 (93.9)
A群
B群
C群
D群

4/5 (80.0)

10/12 (83.3)
5/5 (100)
11/12 (91.7)
0/1
30/31 (96.8)
サルモネラ 106/359 (29.5) 33/87 (37.9)
パラチフスA菌
O 4群
O 7群
O 8群
O 9群
O 3、10群
O 1、3、19群
その他のO群
1/1 (100)
8/47 (17.0)
16/114 (14.0)
23/62 (37.1)
54/97 (55.7)
3/14 (21.4)
0/70
1/17 (5.9)

9/14 (64.3)
7/18 (38.9)
10/14 (71.4)
2/20 (10.0)
5/19 (26.3)
0/2

耐性株数/試験株数(%)

微生物部 細菌第一研究科 松下 秀

 


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