東京都健康安全研究センター
東京都において分離された赤痢菌及びサルモネラの薬剤感受性について(1998年)

東京都において分離された赤痢菌及びサルモネラの薬剤感受性について(1998年)(第20巻、4号)

 

1999年4月

 


 1998年に衛生研究所並びに都・区検査機関で分離された赤痢菌とサルモネラについて、衛生研究所で実施した薬剤感受性検査成績の概略を紹介する。

 供試菌株は、都内の患者及びその関係者、飲食物取扱業者(国内由来株)並びに海外旅行者(海外由来株)から分離された赤痢菌77株とサルモネラ389株である。

 薬剤感受性試験は、例年同様、米国臨床検査標準委員会(NCCLS)の抗菌薬ディスク感受性実施基準に基づき、市販の感受性試験用ディスク(センシディスク;BBL)を用いて行なった。供試薬剤はクロラムフェニコール(CP)、テトラサイクリン(TC)、ストレプトマイシン(SM)、カナマイシン(KM)、アンピシリン(ABPC)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤(ST)、ナリジクス酸(NA)、ホスホマイシン(FOM)及びノルフロキサシン(NFLX)の9剤である。

 赤痢菌及びサルモネラの菌種・菌群別にみた耐性菌の出現頻度を表に示した。

 赤痢菌の耐性頻度は、国内由来株で98.2%、海外由来株で85.7%であり、例年と同様の高耐性率であった。薬剤別耐性頻度についてみると、前者では、SM(98.2%)、TC(60.7%)、ST(37.5%)、NA(21.4%)、CP(10.7%)、ABPC(8.9%)、KM(7.1%)の順、後者ではSM(85.7%)、TC(81.0%)、ST(81.0%)、ABPC(28.6%)、CP(23.8%)、NA(9.5%)、FOM(4.8%)の順で高かった。これら耐性株の主要耐性パターンは、国内由来のD群菌でSM単剤(19株)、TC・SM・ST・NA(10株)、TC・SM・ST(7株)、TC・SM(7株)、海外由来のD群菌でTC・SM・ST(8株)であった。なお、FOM耐性株は海外由来のD群菌に1株認められたが、NFLX耐性株はこれまでと同様皆無であった。

 一方、サルモネラにおける耐性菌の出現頻度は、国内由来株で37.9%、海外由来株で40.7%であり、前者の耐性頻度が前年(29.5%)をかなり上回ったのに対し、後者は前年(37.9%)よりやや高い結果であった。薬剤別耐性頻度は、国内由来株ではSM(34.2%)、TC(20.0%)、ST(7.0%)、CP(5.5%)、ABPC(5.5%)、KM(3.6%)、NA(3.0%)の順、海外由来株ではTC(35.6%)、NA(27.1%)、SM(23.7%)、ST(13.6%)、CP(10.2%)、KM(10.2%)、ABPC(6.8%)の順で高かった。なお、FOM耐性株及びNFLX耐性株は認められなかった。主要O群別に見ると国内由来株でO9群及びO8群、海外由来株でO8群及びO4群において耐性頻度が高かった。主要血清型は、国内由来株(10株以上検出された血清型)でS.Enteritidis(82株)、S.Thompson(27株)、S.Hadar(21株)、S.Typhimurium(18株)、S.Infantis(12株)、S.Litchfield(12株)、海外由来株(3株以上)でS.Enteritidis(8株)、S.Weltevreden(5株)、S.Hadar(4株)、S.Blockley(3株)、S.Emek(3株)、S.Panama(3株)であった。このうち耐性頻度が高かったのは前者で、S.Hadar(100%)、S.Enteritidis(70.3%)、S.Typhimurium(61.1%)、S.Infantis(50.0%)、後者でS.Hadar(100%)、S.Blockley(100%)、S.Emek(100%)、S.Panama(100%)であった。なお、本年はチフス菌とパラチフスA菌は検出されなかった。

 

赤痢菌及びサルモネラの薬剤耐性菌の出現頻度(1998年:東京)
菌種・菌群 国内由来株 海外由来株
赤痢菌 55/56 ( 98.2) * 18/21 ( 85.7)
A 群 3/3 (100.0)
B 群 6/6 (100.0) 2/3 ( 66.7)
C 群 1/1 (100.0)
D 群 49/50 ( 98.0) 12/14 ( 85.7)
サルモネラ 125/330 ( 37.9) 24/59 ( 40.7)
O4群 18/56 ( 32.1) 5/10 ( 50.0)
O7群 10/76 ( 13.2) 1/11 ( 9.1)
O8群 37/68 ( 54.4) 12/15 ( 80.0)
O9群 58/86 ( 67.4) 3/11 ( 27.3)
O3,10群 1/15 ( 6.7) 3/10 ( 30.0)
O1,3,19群 0/9
その他のO群 1/20 ( 5.0) 0/2

*耐性菌株数/試験株数(%)

 

微生物部 細菌第一研究科 松下 秀

 


感染症情報センターTOPへ   健康安全研究センターTOPへ」

本ホームページに関わる著作権は東京都健康安全研究センターに帰属します
© 2013 Tokyo Metropolitan Institute of Public Health. All rights reserved.