東京都健康安全研究センター
東京都において分離された赤痢菌およびサルモネラの血清型と薬剤耐性について

東京都において分離された赤痢菌およびサルモネラの血清型と薬剤耐性について(第24巻、6号)

 

2003年6月

 


 2002年に衛生研究所(現・健康安全研究センター)並びに都・区検査機関で分離された赤痢菌とサルモネラについて、健康安全研究センターで実施した血清型別および薬剤感受性検査成績の概略を紹介したい。

 供試菌株は、都内の患者とその関係者、及び飲食物取扱従事者等における保菌者検索から分離された、赤痢菌30株(海外旅行者由来16株を含む)とサルモネラ157株(海外旅行者由来5株を含む)である。

 薬剤感受性試験は、例年同様、米国臨床検査標準委員会(NCCLS)の抗菌薬ディスク感受性試験実施基準に基づき、市販の感受性試験用ディスク(センシディスク;BBL)を用いて行った。供試薬剤は、クロラムフェニコール(CP)、テトラサイクリン(TC)、ストレプトマイシン(SM)、カナマイシン(KM)、アンピシリン(ABPC)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤(ST)、ナリジクス酸(NA)、ホスホマイシン(FOM)、ノルフロキサシン(NFLX)、セフォタキシム(CTX)の10剤である。

 赤痢菌及びサルモネラの菌種・菌群別に見た耐性菌の出現頻度を表に示した。赤痢菌30株は、ディセンテリー(A群)1株(海外由来)、フレキシネル(B群)6株(海外4株、国内2株)、ボイド(C群)1株(海外)、ソンネ(D群)22株(海外10株、国内12株)であった。

 薬剤耐性菌は、赤痢菌30株中27株(90.0%)で、前年(90.3%)と同様の耐性頻度であった。薬剤別耐性頻度は、TC(73.3%)、SM(73.3%)、ST(73.3%)、ABPC(36.7%)、CP(20.0%)、NA(16.7%)、の順で高かった。KM、FOM、NFLX及びCTX耐性株は検出されなかった。NA耐性の5株(全てソンネ菌:海外3株、国内2株)は、いずれもニューキノロン系薬剤に対して低感受性であった。これら耐性株27株の耐性パターンは12種認められ、ソンネ菌の耐性株19株ではTC・SM・STの3剤耐性(8株)、TC・SM・ST・NAの4剤耐性(4株)が主要なものであり、フレキシネル菌6株では、CP・TC・SM・ABPC・STの5剤耐性(3株)、CP・TC・SM・ABPCまたはTC・SM・ABPC・STの4剤、あるいは、TC・SM・ABPCの3剤耐性(各1株)であった。ディセンテリー菌1株はTC・ABPC・STの3剤、ボイド菌1株はCP・TC・ABPC・STの4剤耐性であった。

 チフス菌2株、パラチフスA菌1株は、いずれも海外由来で、チフス菌2株の内1株はNA単剤耐性、パラチフスA菌1株は感受性であった。

 一方、検出されたチフス菌及びパラチフスA菌以外のサルモネラ154株のO血清群は、O7群(44株、28.6%)、O8群(27株、17.5%)、O4群(26株、16.9%)及びO9群(25株、16.2%)の順であった。また、検出された主要血清型(5株以上検出)は、 S .Enteritidis(23株)、 S .Oranienburg(11株)、 S .Typhimurium(10株)、 S .Hadar(10株)、 S .Thompson(8株)、 S .Weltevreden(8株)、 S .Infantis(7株)、 S .Saintpaul(6株)、 S .Tennessee(6株)であった。

 これらのサルモネラ154株中42株(27.3%)が薬剤耐性株で、前年(32.0%)と比べてやや耐性頻度は減少していた。薬剤別耐性頻度は、TC(18.8%)、SM(18.2%)、ABPC(6.5%)、NA(5.8%)、CP(3.9%)、KM(3.9%)、ST(2.6%)の順であった。その耐性パターンは14種認められ、TC・SM(12株)、NA単剤(7株)、TC・SM・ABPC(6株)、SM単剤(4株)が主要なものであった。なお、FOM、NFLX及びCTX耐性株は認められなかった。O群別では、例年と同様O8群(51.9%)及びO9群(40.0%)の耐性頻度が高かった。血清型ごとに耐性頻度をみると、 S .Hadar(100%)、 S .Typhimurium(60.0%)、 S .Infantis(57.1%)、 S .Enteritidis(43.5%)、 S .Thompson(25.0%)で高頻度であった。

 

赤痢菌及びサルモネラの薬剤耐性菌の出現頻度(2002年:東京)

菌種・菌群 試験株数 耐性株数(%)
赤痢菌 30 27 (90.0)
 ディセンテリー
 フレキシネル
 ボイド
 ソンネ
1
6
1
22
1 (100)
6 (100)
1 (100)
19 (86.4)
チフス菌
パラチフスA菌
2
1
1 (50.0)
1 (0.0)
その他のサルモネラ 154 42 (27.3)
 O4群
 O7群
 O8群
 O9群
 O3,10群
 その他のO群
26
44
27
25
14
18
8 (30.8)
7 (15.9)
14 (51.9)
10 (40.0)
2 (14.3)
1 ( 5.6)

 

 

微生物部 食品微生物研究科 腸内細菌研究室

 


 

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