東京都健康安全研究センター
東京都において分離された赤痢菌およびサルモネラの薬剤感受性について

東京都において分離された赤痢菌およびサルモネラの薬剤感受性について(第25巻、6号)

 

2004年6月

 


 2003年に健康安全研究センター並びに都・区検査機関で分離された赤痢菌とサルモネラについて、健康安全研究センターで実施した薬剤感受性検査成績の概略を紹介する。

 供試菌株は、都内の患者とその関係者及び飲食物取扱従事者等における保菌者検索から分離された赤痢菌33株(海外旅行者由来20株を含む)とサルモネラ119株(海外旅行者由来1株を含む)である。

 薬剤感受性試験は、例年同様、米国臨床検査標準委員会(NCCLS)の抗菌薬ディスク感受性試験実施基準に基づき、市販の感受性試験用ディスク(センシディスク;BBL)を用いて行った。供試薬剤は、クロラムフェニコール(CP)、テトラサイクリン(TC)、ストレプトマイシン(SM)、カナマイシン(KM)、アンピシリン(ABPC)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤(ST)、ナリジクス酸(NA)、ホスホマイシン(FOM)、ノルフロキサシン(NFLX)、セフォタキシム(CTX)、スルフイソキサゾール(SU)の11剤である。

 赤痢菌及びサルモネラの各菌種・血清群別にみた耐性菌の出現頻度を表に示した。

 赤痢菌33株の菌種別内訳は、ディセンテリー(A群)菌2株(海外由来)、フレキシネル(B群)菌6株(海外2株、国内4株)、ボイド(C群)菌2株(海外1株、国内1株)、ソンネ(D群)菌23株(海外8株、国内15株)であった。

 赤痢菌33株中30株(90.9%)が供試した薬剤のいずれかに耐性を示し、2002年(90.0%)と同様の耐性頻度であった。薬剤別耐性頻度はTC(81.8%)、SM(75.8%)、ST(75.8%)、SU(75.8%)、NA(30.3%)、ABPC(24.2%)CP(12.1%)の順で高かった。KM、FOM、NFLX及びCTX耐性株は検出されなかった。NA耐性の10株(フレキシネル菌1株、ソンネ菌9株)は、いずれもニューキノロン系薬剤に対して低感受性であった。これら耐性株(30株)の薬剤耐性パターンは11種認められ、ソンネ菌(22株)ではTC・SM・ST・NA・SU(9株)、TC・SM・ST・SU(8株)が主要なものであり、フレキシネル菌(4株)ではTC・SM・ABPC(2株)、CP・TC・SM・ABPC・ST・NA・SU(1株)、TC・SM・ABPC・ST・SU耐性(1株)であった。また、ディセンテリー菌(2株)はTC・SM・ABPC・ST・SU及びTC・SM・ST・SU耐性、ボイド菌(2株)はCP・TC・ABPC・ST・SU及びTC単剤耐性であった。

 次に、サルモネラについてみると、チフス菌(国内由来1株)は、供試した11薬剤に全て感受性であった。パラチフスA菌は、2002年は1株検出されたが2003年は検出されなかった。

 一方、その他のサルモネラ118株のO群別内訳は、O7群51株(43.2%)、O4群24株(20.3%)、O9群20株(16.9%)、O8群12株(10.2%)の順であった。また、検出された主要血清型(5株以上検出)は、 S. Enteritidis(18株)、 S. Infantis(16株)、 S. Typhimurium(7株)、 S. Thompson(6株)、 S. Agona(5株)、 S. Bareilly(5株)、 S. Mikawasima(5株)、 S. Oranienburg(5株)であった。特筆すべき点として、 S. Mikawasimaは東京都微生物検査情報が発刊された1980年の集計以来2002年までの23年間で1982年、1993年、1996年に各1株しか検出されていない血清型であるが、2003年には2ヶ月の間に5株が分離された。その全株が供試した11薬剤に全て感受性であり、パルスフィールドゲル電気泳動パターンも一致していたことから、何らかの共通した感染源が考えられたが、原因究明には至らなかった。

 サルモネラ118株中38株(32.2%)は耐性菌であり、前年(27.3%)と比べて耐性頻度はやや増加していた。薬剤別耐性頻度は、SM(19.5%)、SU(16.1%)、TC(14.4%)、NA(8.5%)、KM(5.1%)、ABPC(5.1%)、CP(1.7%)、ST(1.7%)の順であった。その耐性パターンは17種認められ、SM単剤(9株)、TC・SM・SU(6株)、SU単剤(5株)、NA単剤(4株)が主要なものであった。なお、FOM、NFLX及びCTX耐性株は認められなかった。O群別では、例年と同様O9群(55.0%)及びO8群(50.0%)の耐性頻度が高かった。また今回はO4群の耐性頻度(50.0%)が2002年(30.8%)と比べて高くなっていた。主要血清型菌の耐性頻度は S. Typhimurium(71.4%)、 S. Enteritidis(55.6%)、 S. Agona(40.0%)、 S. Bareilly(20.0%)、 S. Infantis(18.8%)等であった。

 

赤痢菌およびサルモネラの薬剤耐性菌の出現頻度(2003年:東京)

菌種・菌群 試験株数 耐性株数(%)
赤痢菌 33 30 (90.9)
  ディセンテリー 2 2 (100)
  フレキシネル 6 4 (66.7)
  ボイド 2 2 (100)
  ソンネ 23 22 (95.7)
チフス菌 1 0 ( 0.0)
その他のサルモネラ 118 38 (32.2)
  O4群 24 12 (50.0)
  O7群 51 7 (13.7)
  O8群 12 6 (50.0)
  O9群 20 11 (55.0)
  O3,10群 3 1 (33.3)
  その他のO群 8 1 (12.5)

 

微生物部 食品微生物研究科 河村真保

 


 

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