東京都健康安全研究センター
東京都において分離された赤痢菌およびサルモネラの薬剤感受性について

東京都において分離された赤痢菌およびサルモネラの薬剤感受性について(第26巻、5号)

 

2005年5月

 


 2004年に健康安全研究センター、都・区検査機関並びに一部の医療機関で分離された赤痢菌とサルモネラについて、健康安全研究センターで実施した薬剤感受性試験の概略を紹介する。

 供試菌株は、都内の患者とその関係者および飲食物取り扱い従事者等における保菌者検索事業によって分離された赤痢菌24株(海外旅行者由来 14株を含む)とサルモネラ141株(海外旅行者由来 8株を含む)である。

 薬剤感受性試験は、例年同様、米国臨床検査標準委員会(NCCLS)の抗菌薬ディスク感受性試験実施基準に基づき、市販の感受性試験用ディスク(センシディスク;BBL)を用いて行った。供試薬剤は、クロラムフェニコール(CP)、テトラサイクリン(TC)、ストレプトマイシン(SM)、カナマイシン(KM)、アンピシリン(ABPC)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤(ST)、ナリジクス酸(NA)、ホスホマイシン(FOM)、ノルフロキサシン(NFLX)およびセフォタキシム(CTX)の10剤である。

 赤痢菌およびサルモネラの各菌種・血清群別にみた耐性菌の出現頻度を表に示した。

 赤痢菌24株の菌種別内訳は、ディセンテリー(A群)菌4株(海外由来)、フレキシネル(B群)菌6株(海外1、国内5)、ボイド(C群)菌3株(海外)、ソンネ(D群)菌11株(海外6、国内5)で、うち23株(95.8%)が供試した薬剤のいずれかに耐性を示した。薬剤別耐性頻度は、SM(91.7%)、TC(87.5%)、ST(75.8%)、CP(37.5%)、ABPC(37.5%)、NA(37.5%)、 NFLX(8.3)の順であった。耐性株(23株)の薬剤耐性パターンには15種の組み合わせがみられ、ソンネ菌(10株)では、TC・SM・ST・NA(4株)、TC・SM・ST(3株)が主要なものであった。フレキシネル菌6株は、TC・SM・ABPC・ST・NA・NFLX(6剤耐性)、CP・TC・SM・ABPC・ST(5剤耐性)、TC・SM・ABPC・ST(4剤耐性)、CP・TC・SM・NA(4剤耐性)、CP・SM・ABPC・ST(4剤耐性)、CP・TC・SM・ABPC(4剤耐性)に耐性を示した。また、ディセンテリー菌(4株)は、CP・TC・SM・ABPC・ST・NA・NFLX(7剤耐性)、CP・TC・SM・ABPC・ST(5剤耐性)、TC・SM・ST(3剤耐性)、SM・ST(2剤耐性)、ボイド菌(3株)は、CP・TC・SM・ST(4剤耐性)、TC・SM・NA(3剤耐性)およびTC単剤に耐性であった。

 チフス菌・パラチフスA菌の内訳は、チフス菌7株(海外6株、国内1株)、パラチフスA菌3株(海外2株、国内1株)であった。例年本誌に計上している数から比較すると、大幅な増加であるが、これは、昨年9月より、都内で分離されたチフス菌・パラチフスA菌について、感染源および感染経路の究明に備えるため当センターに菌株が搬入されることになったためである。海外由来チフス菌6株中、SM・NA 2剤耐性(1株)、SM単剤耐性(1株)、NA単剤耐性(3株)で、国内由来1株は、感受性株であった。パラチフスA菌は海外由来株NA・FOM 2剤耐性(2株)、国内由来株NA単剤耐性であった。

 一方、チフス菌・パラチフスA菌以外のサルモネラ131株のO群別内訳は、O7群42株(32.1%)、O4群38株(29.0%)、O9群21株(16.0%)、O8群13株(9.9%)、O3,10群9株(6.9%)、O16群4株(3.1%)、O11群2株(1.5%)、O1,3,19群2株(1.5%)の順であった。O7群、O4群、O9群、O8群及びO3,10群で全体の93.9%を占めた。また、その主要血清型は、 S. Enteritidis(18株)、 S. Typhimurium(14株)、 S. Thompson(13株)、 S. Saintpaul(6株)、 S. Oranienburg(5株)であった。

 サルモネラは、131株中31株(23.7%)がいずれかの薬剤に耐性を示し、各薬剤に対する耐性頻度は、SM(20.6%)、TC(17.6%)、ABPC(7.6%)、CP(5.3%)、NA(5.3%)、ST(1.5%)、KM(0.8%)の順であった。その耐性パターンは、11種の組み合わせがみられ、全体ではTC・SM 2剤耐性 (7株)、CP・TC・SM・ABPC 4剤耐性(6株)、SM単剤耐性(6株)、TC・SM・NA 3剤耐性(4株)が主要なものであった。昨年同様FOM、NFLXおよびCTX耐性株は認められなかった。O群別では、O8群(53.8%)およびO9群(38.1%)の耐性頻度が高かった。血清型別にみると、 S. Typhimuriumでは、CP・TC・SM・ABPC 4剤耐性(35.7%)が、 S. Enteritidisでは、SM単剤耐性(33.3%)が最も多かった。

 

赤痢菌およびサルモネラの薬剤耐性菌の出現頻度(2004年:東京)

 

菌種・菌群 試験株数 耐性株数(%)*
赤痢菌 24 23 (95.8)
ディセンテリー 4 4 (100)
フレキシネル 6 6 (100)
ボイド 3 3 (100)
ソンネ 11 10 (90.9)
チフス菌 7 5 (71.4)
パラチフスA菌 3 3 (100)
その他のサルモネラ 131 31 (23.7)
O4群 38 10 (26.3)
O7群 42 6 (14.3)
O8群 13 7 (53.8)
O9群 21 8 (38.1)
O3,10群 9 0 ( 0 )
O11群 2 0 ( 0 )
O16群 4 0 ( 0 )
O1,3,19群 2 0 ( 0 )

 

微生物部 食品微生物研究科 横山敬子

 

 


 

感染症情報センターTOPへ   健康安全研究センターTOPへ」

本ホームページに関わる著作権は東京都健康安全研究センターに帰属します
© 2013 Tokyo Metropolitan Institute of Public Health. All rights reserved.