東京都健康安全研究センター
健康都民における風しん及び麻しんウイルス抗体保有状況(平成18年度)

 

健康都民における風しん及び麻しんウイルス抗体保有状況(平成18年度)(第28巻、1号)

2007年1月

 


 

 感染症流行予測調査は、1962年に伝染病流行予測調査として開始され、それ以降毎年全国規模で実施されている。今回は平成18年度の東京都における風しんと麻しんウイルスに対する抗体保有状況について調査した成績を報告する。

 調査は東京都在住の健康者からインフォームドコンセント取得の後、採取した334件の血清を対象とし、これを9つの年齢階層(0〜3歳、4〜9歳、10〜14歳、15〜19歳、20〜24歳、25〜29歳、30〜34歳、35〜39歳、40歳以上)に区分して解析を行なった。

風しん:風しんウイルスに対する抗体価は、赤血球凝集抑制試験(HI試験)によって測定した。HI価8倍以上であったものを抗体保有者とし、年齢階層別、ワクチン接種歴別に抗体保有率及び平均抗体価を求めた(図1)。

 風しんワクチン接種状況は接種者186名、未接種者83名、接種歴不明者58名で、ワクチン接種歴の判明している269名から算出したワクチン接種率は69.1%であった。HI抗体保有率をみると、ワクチン接種者は、全ての年齢階層で80%以上の高い値を示しているのに対し、9歳以下の未接種者の抗体保有率は10%未満であった。しかし、10〜19歳では約50%、20〜39歳の年齢階層では100%と加齢と共に保有率の増加がみられた。また、各年齢階層の平均抗体価についてみると、ワクチン接種者は0〜3歳の年齢階層で最も高い値を示し加齢と共に低下する傾向を示したのに対し、未接種者では9歳以下の年齢階層の平均抗体価が8倍以下と低値であるが、加齢と共に上昇し、20歳以上の年齢階層ではワクチン接種者よりも高い値を示した。流行予測抗体保有状況調査票の既往歴の回答から、風しんのワクチン接種歴と罹患歴が判明している256人について罹患率を調べると、未接種者の罹患率が32.9%(25/76)であったのに対し、ワクチン接種者の罹患率は6.7%(12/180)と低率であり、ワクチン接種による感染予防効果が確認された。また未接種者は、加齢と共に風しん罹患者が増加し、抗体保有率が上昇したものと推察された。

 

 

麻しん:麻しんウイルスに対する抗体価はゼラチン凝集(PA)法により測定した。PA抗体価が16倍以上であったものを抗体保有者とし、年齢階層別、ワクチン接種歴別に抗体保有率及び平均抗体価を求めた(図2)。

 麻しんワクチン接種状況は接種者218名、未接種者63名、接種歴不明者53名であり、ワクチン接種歴の判明している281名から算出したワクチン接種率は77.6%であった。

 ワクチン接種者における抗体保有率は全ての年齢階層において95%以上の高い割合を示していた。未接種者の年齢階層0〜3歳では抗体保有率は10%未満であったが加齢により増加し、20歳を超えた年齢階層ではほぼ抗体保有率は100%に達した。

 ワクチン接種者における全年齢階層の平均抗体価は786.5倍で、未接種者の平均抗体価203.2倍を大きく上回っていた。また、未接種者においては特に0歳から19歳までの年齢階層群で平均抗体価200倍以下であり、接種者との差が大きかった。しかし、年齢階層が20歳を超えるグループでは未接種者の平均抗体価は接種者とほぼ同じ値を示していた。

 流行予測抗体保有状況調査票の既往歴の回答から、麻しんワクチン接種歴と麻しん罹患歴の判明している264名について罹患率を調べると、未接種者の罹患率は56.1%(32/57)であったのに対し、ワクチン接種者の罹患率は5.3%(11/207)と低率であり、ワクチン接種による感染予防効果が確認された。また、ワクチン未接種者は、加齢と共に麻しん罹患者が増加し、抗体保有率が上昇したものと推察された

 

 

 

微生物部 ウイルス研究科 長谷川 道弥

 


 

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