東京都健康安全研究センター
東京都内の医療機関で劇症型溶血性レンサ球菌感染症患者から分離されたStreptococcus 属菌ついて(2017年)

 レンサ球菌感染症では、感染症法においてA群溶血性レンサ球菌咽頭炎(五類定点把握疾患;以下、咽頭炎)及び劇症型溶血性レンサ球菌感染症(五類感染症全数把握対象疾患;以下、劇症型)が病原体サーベイランスの対象となっている。このうち、東京都における劇症型の届出数は2015年以降増加傾向にあり、本年も34週現在ですでに61例の届出がある。このような劇症型の増加は、全国の集計においても同様の傾向が見られている(図1)。

 

 東京都では分離株の流行状況を把握するため、劇症型溶血性レンサ球菌感染症の発生届が出された際、積極的疫学調査の一環として患者から分離されたレンサ球菌株を確保し、各種の疫学解析を実施している。また劇症型に加え、咽頭炎については、病原体定点医療機関で分離されたStreptococcus pyogenesの血清型別等の検査を実施している。

 

 2017年に確保できた劇症型の菌株は、61株であった(表1)。これらの株についてLancefield分類による群別を行った結果、最も多かったのはG群の25株であり、次いでA群24株、B群11株、C群1株の順であった。また、A群の菌株はすべてS. pyogenes であり、B群はすべてS. agalactiae、C群及びG群はいずれもStreptococcus dysgalactiae subsp. equisimilisであった。

 

 S. pyogenesのT血清型では、1型 (8株:33.3%)、12型 及び28型 (3株:12.5%) 、B3264型(2株:8.3%)等であり、B3264型は2016年の19.2%2)に比べて減少した。

 

 一方、2017年に咽頭炎患者から分離された81株のS. pyogenes について実施したT血清型別の結果は、12型が最も多く(21株:25.9%)、次いで1型(16株:19.7%)、4型(15株:18.5%)等の順であった(表2)。咽頭炎患者由来株は 2016年と比較して12型が多く分離されたが、主要3血清型(1型・4型・12型)に変化はなく、これら3血清型で分離菌株の64.1%を占めた。また、図2に示すように、2016年まで劇症型由来株では1型に次いで多く見られたB3264型は、咽頭炎由来株で13株:16.0%と増加していた。4型については、咽頭炎由来株(18.5%) に比べ、劇症型由来株は2株:8.3% に留まっており(表2)、2016年と同様の傾向2)であった。劇症型由来株と咽頭炎由来株との関連性はいまだ不明であるが、今後も、型別等により流行を把握・監視していくとともに、さらに詳細な異同を検討して行く必要がある。

 

 

参考文献

1) 東京都微生物検査情報, 37, 総集編, 22-26, 2016
2) 東京都微生物検査情報, 38, 総集編, 26-28, 2017

 

(病原細菌研究科 奥野ルミ)

 

 

 

図1.劇症型溶血性レンサ球菌感染症発生届出数の年次推移

(東京都感染症週報より作成)

 

 

表1.劇症型溶血性レンサ球菌感染症患者由来株の群別及び菌種名 (2017年:東京都)

 

 

 

表2.劇症型及び咽頭炎由来A群レンサ球菌(S. pyogenes )T血清型別 (2017年:東京都)

 

 

図2.S. pyogenes T血清型別分離菌株数の年次推移

 

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