東京都健康安全研究センター
東京都内の医療機関で分離された溶血性レンサ球菌感染症患者由来株の血清型別状況(2018年)

 東京都における「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」(以下、劇症型)の届出数は、2019年30週現在で78例である。2015年以降増加しており、全国においても同様な傾向が見られている(図)。東京都では、劇症型患者から分離されたβ溶血性レンサ球菌については、協力が得られた医療機関から積極的疫学調査として菌株を確保し、血清型別等の疫学解析を実施している。また、定点把握対象疾患である「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」(以下、咽頭炎)については、感染症発生動向調査事業として病原体定点医療機関の患者検体からStreptococcus pyogenesを分離し、同様に調査を実施している。

 

1.劇症型溶血性レンサ球菌感染症由来株の群別及び菌種

 2018年に当センターに搬入された劇症型患者由来株79株について、Lancefield分類による群別を実施した。その結果、最も多かったのはG群33株(41.8%)で、次いでA群28株(35.4%)、B群15株(19.0%)、C群2株(2.5%)、F群1株(1.3%)の順であった。

 菌種の内訳をみると、A群では27株がS. pyogenes、1株がS. dysgalactiae subsp. equisimilis、B群ではすべてS.agalactiae、C群及びG群ではいずれもS. dysgalactiae subsp. equisimilisであった。また、2017年まで見られなかったF群の1株はS. constellatusであった(表1)。

 

2.S.pyogenesのT血清型別

 収集されたS. pyogenes についてT血清型を実施した結果を表2に示した。劇症型患者由来株では、1型:9株(33.3%)、12型:5株(18.5%) 、B3264型:6株(22.2%)であり、これら3血清型で全体の74%(20株/27株)を占めた。前年と比較すると、1型及び12型は2017年(1型:33.3%、12型:12.5%)と同程度であったが、B3264型は、2017年(8.3%)に比べ増加していた。 一方、感染症発生動向調査事業で、2018年に咽頭炎患者から分離されたS. pyogenes 127株は、多く見られた順に12型:28株(22.0%)、1型:26株(20.5%)、B3264型:25株(19.7%)であり、これらの3血清型は全体の62.2%(79株/127株)を占め、劇症型患者由来株と同様に分離頻度の高い血清型であった。また、これらの3血清型の分離率は、2017年(12型:25.9%、1型:19.7%、B3264型:16.0%)と比較した結果、差は認められなかった。しかし、 4型は7株 (5.5%)と2017年(18.5%)に比べ減少し、28型は16株(12.6%)であり、2017年(2.5%)と比較し増加した。

 S. pyogenes 1型及び12型は、劇症型患者由来株、咽頭炎患者由来株ともに例年多く見られる血清型である。また、B3264型は、劇症型患者由来株では2017年には少なかったものの、2016年及び2018年には多く見られた。一方、感染症発生動向調査事業の咽頭炎由来株では2016年以降、B3264型の分離率は増加傾向にある(2016年:11%、2017年:16%、2018年20%)。劇症型患者由来株と咽頭炎患者由来株の関連性はいまだ不明であるが、今後も、型別等により流行を把握・監視していくとともに、さらに詳細な異同を検討して行く必要がある。

 

<参考文献>

1) 東京都微生物検査情報,37,総集編,22-26,   2016

2) 東京都微生物検査情報,38,総集編,26-28, 2017

3) 東京都微生物検査情報,39,総集編,26-28, 2018

(病原細菌研究科 奥野ルミ)

 

表1.劇症型溶血性レンサ球菌感染症患者由来株の群別及び菌種名 (2018年:東京都)

 

 

表2.劇症型及び咽頭炎由来A群レンサ球菌(S. pyogenes)T血清型別(2018年:東京都)

 

 

             (東京都感染症週報より作成)

 図.劇症型溶血性レンサ球菌感染症発生届出数の年次推移

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