東京都健康安全研究センター
インフルエンザウイルスの命名法

13. インフルエンザウイルスの命名法

 インフルエンザは世界的規模で流行する感染症で、毎年、似ているけれども少しずつ異なったウイルスが世界各地で分離されます。インフルエンザウイルスはA、B、Cの3つの型に大きく別れ、表面に出ている2種類の突起、ヘマグルチニン(HA)とノイラミニダ−ゼ(NA)の種類によってさらに分けられます。

 インフルエンザウイルスの命名法は国際的に次のように記すことに決められています。

 

ウイルスの型(A,B,C)/分離動物(ヒトの場合は省略)/分離地/分離番号および分離年/HAとNAの型

 

 (東京都立衛生研究所ウイルス研究科による)

 例えば今季のワクチン株を例にとると、A/ニュ−カレドニア/20/99/H1N1は、A型で、ヒトから、ニュ−カレドニアで、1999年に20番目に分離されHA亜型が1、NA亜型が1のウイルスということを表します。A/パナマ/2007/99/H3N2は、A型で、ヒトから、パナマで、1999年に2007番目に分離され、HA亜型が3、NA亜型が2のウイルスです。A/H3N2型のウイルスでは1968年に流行した香港風邪が有名なのでA香港型と呼ばれます。

 A/H1N1型のウイルスは1977年に流行したソ連風邪にちなんでAソ連型と呼ばれます。B型のウイルスにはHA亜型もNA亜型も1種類しかありませんので単にB型と呼びます。

 世界で分離された3種類のウイルスの系統樹の模式図を図2〜4に示しました。

 図2〜4は平成11年度厚生科学研究報告書、パンデミー、間パンデミーインフルエンザのサーベイランスに関する調査研究(根路銘国昭ら)、東京都微生物検査情報22巻2号を参考に作成した。

図2.インフルエンザAソ連(H1N1)型HA遺伝子 系統樹 模式図

図3.インフルエンザA香港(H3N2)型HA遺伝子 系統樹 模式図

図4.インフルエンザB型HA遺伝子 系統樹 模式図

 

◆:2001/2002シーズンのワクチン株

★:2000/2001シーズンのワクチン株

▲:2000/2001シーズンの分離株

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