東京都健康安全研究センター
手足口病患者からのエンテロウイルス71型の検出

 2004年6月1日に、東京都における感染症発生動向調査検体として搬入された男児(7歳6か月)の咽頭拭い液から、今季初めてPCR法によりエンテロウイルス71型(EV71)を検出した。

 2004年5月下旬、東京都内の小学校に通う男児が口内炎、丘疹を主訴として小児科を受診した。受診した際の問診から、男児の兄および男児が通う小学校のクラス内でも数名が同様の症状を示していたことが判明している。男児は、臨床上、手足口病を疑う所見があったため、同院にて咽頭拭い液を採取し、この検体についてエンテロウイルス、ヘルペスウイルスの検出を目的としたPCR法を実施するとともに、F-Vero、RD細胞、乳のみマウスを用いたウイルス分離試験を開始した。エンテロウイルス検出用PCRについては、咽頭ぬぐい液より核酸抽出後、5’非コード領域を増幅する.Kuanの方法(J.Clin.Microbiol.35,2598-2601,1997)により検査を実施した。

 検査の結果、PCR産物の電気泳動により300bp付近に特異バンドが得られたため、direct-sequencing法により塩基配列を決定した。得られた塩基配列について、BLASTN
searchを実施するとともに、分子系統樹上で他のエンテロウイルスと比較した。その結果、検出株(Tokyo/04-301)はエンテロウイルス71型に分類されたが、東京都において昨年分離した株とは遺伝子的に異なり、EV71
Jahu株(AF412383)に最も近縁な株であることが判明した(図)。さらに、同区内で6月22日に手足口病を発病した感者の咽頭拭い液からも同型のウイルス(Tokyo/04-429)がPCR法で検出されている。ウイルス分離試験については現在継続中である。

 

図 エンテロウイルスの分子系統樹解析
(5’non-code領域)
 
微生物部ウイルス研究科
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